
スケボーカメラマン・バレリー(スケーター歴15年)。彼がスケボーと出会ったキッカケや写真に出会うまでのエピソードなどをインタビュー。自身のスケーター経験から培われた徹底的なこだわりが魅せる作品達を紹介しながらカメラマン・バレリーに迫る。
まずは自己紹介をお願いします。
自己紹介(笑)?えーと、名前は丸山陽介(マルヤマ ヨウスケ)29歳です。でも本名を知ってる人は少なくて、職場の人間以外にはバレリーって呼ばれてます。出身は東京都江東区で、写真のスタジオで働きながらたまにスケボーの写真を撮っています。

↑ Yuki Hatano, ollie / JAN http://janmarket.net/ / valphotography ©
写真はスケボーがメインなんですね?
そうですね。スケボーのライディング写真。スケボーに関すること事柄は全部って感じっすね。それ以外では築地の市場を撮りに行ったりもしてます。築地の市場が移転するって話しを聞いてから通うようになりました。築地市場は個人的に魅力的な物がいっぱいありすぎてすごい面白い場所なんです。移転する前に写真に残しておきたくて撮りに行ってます。もちろんスケボーの写真が軸ですけどね。スケボーが9割5分、築地は3分ぐらいです(あとの2分が仕事など)(笑)。
築地は本当に面白いです。夜中~朝とかに行ったら多分衝撃的だと思いますよ。超デカい冷凍マグロをサッカーボールみたいにポ~ンッ!とか蹴ったりして、それがズザーって転がっていくんすよ。あと、普通の格好していくと観光客だと思ってナメられるんです。だから長靴履いてベスト着て…もうコスプレっすね。市場にいる人に同化するっていうか。でも、それはスケボーの写真を撮る時も同じだと思うんですよね。スーツ着たヤツがカメラマンだったら、スケーターもちょっと構えてしまうじゃないですか?市場もスケーターも一緒ですね(笑)。
そんな渋い趣味を持っているバレリーくんですが、スケーター歴もかなり長いんでしょうか?またスケボーを始めたキッカケを教えてください。
中三の終わりぐらいからやってます。キッカケは…MXテレビかなにかの番組で、縦コーンを飛んだり、フリップしたりしている映像が流れていて、当時はスケボーと言えば、バーチカルみたいなのしか知らなかったので結構衝撃的でした。そっからは毎日スケボーの事しか考えていなかったですね(笑)。
それがどのように発展していったんでしょうか?なんでも最初は映像を撮っていたという話しを聞きましたが?
そう、最初は映像でしたね。高3の頃、よく友達と秋葉原に滑りに行っていたんですけど、別のグループがスケボーのビデオを自分達で作っていたんです。「あぁ自分達でこんな事をやってるなんて面白いな!」って思って、それで仲間内でビデオカメラを買って映像を作り始めました。それからしばらくは仲間でお互いを撮り合ってビデオを作ってましたね。で、そのうち仲間以外でも色んなヤツを撮り始めました。身内だけだとスゴい狭い世界っていうか、持っている技も知っているし。でも色んな人を撮ると、色んな場所にも行くし、仲間内では見れない持ち技もあったりするわけで。「そういう人達を撮って1本のビデオ作りたい」って思って、自分でもカメラ買って撮ってました。それが高校卒業したぐらいです。それまではスケボーをやる側だったんですけど、その頃から撮影側にシフトしていきましたね。もちろんスケボーもずっとやってましたけど。

↑ Kazuaki Yakushijin, 50-50 / vivo http://vivovivo.seesaa.net / valphotography ©
映像から写真へシフトしていったのはいつぐらいからですか?
色んな人の映像を撮っていくうちに、雑誌の写真撮影と一緒になる機会が段々増えていったんです。当然なんですけど、写真ってめちゃくちゃキレイなんですよ。映像と比べたら伸ばせる大きさも全然違うし。そこらへんの違いにかなりやられましたね。その頃、俺が映像を撮る機会が多かったのが中村久史(ナカムラヒサシ)ってスケーターなんですが、ヒサシを撮っている時に平野太呂(ヒラノタロ)くんに出会ったんです。めちゃくちゃ写真撮るの上手くて、「やべーな、写真。やばい」って思うようになりました。で、それからも太呂くんと撮影が一緒になる機会がどんどん増えていって、ビデオを1本作ってお金が入ったので、太呂くんに色々機材の事を教えてもらって写真の機材を買い始めましたね。それが24歳ぐらいの時ですね。でもそれからしばらく映像をメインでやって、写真はたまに撮る感じでした。本格的に写真を撮り始めたのはここ3~4年ですね。
影響をウケたカメラマンは?
さっき話してた太呂くんですね。太呂くんがいなかったら、写真を始めなかったんで。あと、イサムくん(磯野勇)っていうカメラマン。俺の中では、その二人がスケボー写真の二大巨頭だったんですよ。彼らと撮影が一緒になる機会がすごい多くて、受けた影響はかなりデカいですね。
バレリーくんがスケーターの写真を撮る時に重用視していることはなんですか?
うーん、重要視している事はいっぱいあるっすけど(笑)。まず「スポット」「スケーターが技をやる場所」ですね。あとは「その場所で何をやるのか」っていうのも重要です。グラインドやスライドトリックにしても、普通の平らな場所でやるんじゃなくて、入り口で幅を飛んでからグラインドしたりして(ここで写真を撮る)、出口が斜面になっているとか。そういう組み合わせを考えたスポット選びです。

↑ Nobuaki Ohshima, Blunt / JAN http://janmarket.net / valphotography ©
単純にスケーター側のハードル的な部分の話し?
そう、ハードル的な部分。でも、一枚の写真を見た時に、ただ平らな場所でやっているなら「あ、この人はここでこれをやっているんだな」って終っちゃうんですよね。でも、今言った要素が1つ2つって増えていくと写真を見た人が想像するじゃないですか?「あ、コイツはここから飛んで、ここで技をやって、最後はここへ着地するんだ」っていうような。1枚の写真に動きはないんだけど、前後の動きを想像させれるっていうか。「うわ、この後どうなったんだろう?」とか。そういうのをすごい考えています。ただの1枚の写真だから、証明写真にならないようにしたいです。「事実を残すだけではなくて、そこから更に想像させる写真を撮るように」っていうのは思ってますね。色々と想像させてたいっすね。だから俺の場合はスポットがすごい重要です。レンズ、ライティング、機材の事はその後の話しになりますね。
それはバレリーくん自身のスケーターとしての経験が活きている印象を受けますが?
そうすかねー?でも逆にスケボーしているだけだったら、そこまでの発想にはならないと思うんですよね。スケーターだったら「技が出来ればそれでOK」って話しになっちゃうじゃないですか?ただ俺はそういうこだわりを持っているから、だから撮影する場合はスケーターにもハードルが1個上がる。で、結果的に良いモノが残せるっていうか。

↑ Hiroki Muraoka, B/S Tailslide / http://www.vhsmag.com/blog/hiroki_muraoka / valphotography ©
普段使っている機材を少し紹介してもらえませんか?
フィルムとデジタルを半々ぐらいで使っています。フィルムがNIKON FM2、デジタルはNIKON D700を使っています。レンズは全部で5、6本。ストロボが3つ。基本的にはそんな感じです。あとは三脚、レリーズなど細かい物がそこに付いてきますね。最近、マンフロットのギア雲台をゲットしたんですけど、めっちゃいいですね~。普段スタジオの仕事で使っていて自分でも欲しいなぁとずっと思っていたんです。あの雲台はストレスがなくなるっすね。
スケボーやチャリの写真を撮っている人ってカメラは手持ちが多いと思います。俺は逆に三脚を使わないとめんどくさいっていうか。三脚を使えば、アングルを決めて固定出来るので、1回カメラから離れても、帰ってきてそのままシャッター切れてるんですよね。あと、俺も手持ちで撮っていた時期があったんですけど、メークするまで何枚も撮るわけで、当然構図にバラつきが出てしまうんです。「技のクオリティは高いのにもうちょっと下から撮ってれば…」とか。三脚を使えば構図は完全に一緒になるので純粋に技のクオリティだけで写真を選べるんですよ。「さっきの構図でこの技のクオリティだったら良かったのに…」っていうのがなくなりました。そういう意味でも俺は三脚があった方が俺は好きかなと。やっぱり撮られるスケーターからしたら「どのぐらいのクオリティで技をやっているか」ってところだから、それをカメラマンが「もうちょっとアングルがこうだったら…」ってぶち壊しちゃうのは…マイナスですよね。
今までの撮影で面白いエピソードがあったら教えてください。
そうだなー。よく漫画で興奮すると鼻血が出るって話しがあるじゃないですか?興奮して鼻血がドバー!みたいな。俺、あんなの漫画の世界の話しだけと思ってたら、やっててスケーターが(笑)。上田豪って人をパークで撮影していた時の話しなんですけど、彼がなんかうずくまってるんですよ。「え?」と思って近づいたら血がスゴい出てて(笑)。ははは。「えぇ?どうしたんすか?」って聞いたら「いやぁちょっとアドレナリンが出て興奮したら鼻血が出てきた」って(笑)。スケーターが自分の限界にチャレンジするような撮影には何回も立ち会ってるけど、興奮して鼻血を出したのは彼ひとりだけですね。多分この先もないだろうと思います(笑)。

↑ Go Ueda, Tweek / 13mind http://www.13mind.jp / valphotography ©
バレリーくんの今後について聞かせてください。
今後…そうっすね、目標は営業活動っすね。生計を立てていかないといけないので(笑)。ずっとスタジオで働いているんじゃなくて、いつかカメラマンとして独立しなきゃいけない時期が来るわけで。まぁちょっと仕事を増やすっていう意味での営業活動。現実的ですけど、結婚して子供も欲しいんで(笑)。スケボーはもちろん、商業的な写真も撮って、カメラマンとして独立して生計を立てられるようにしていきたいです。
あと、いつか写真展もやりたいっすね。撮った写真はちょっとずつプリントしているんです。「展示会をいついつまでにやる」って決めてやれば、焦ってすぐにやるんだろうけど、写真のプリントって焦ってやっちゃうと良いのが出来ないんですよね。写真の撮影とかもこだわれば一枚の写真で何時間でもかけられるっていうか、それはプリントも同じなんです。だから納得いくまでちょっとずつプリントしていって、本当にいいモノが出来たらに展示会をやりたいです。築地の写真も築地の写真だけで展示会、例えば、築地市場で写真を展示するっていうデカい目標として考えていたりしますね。そういうのやったら面白いかなーとか頭の中では考えたりはしてます。そんな感じっすねー。

↑ Akira Ishizawa, 360 kickflip / 5BORONYC http://www.5boro.com / valphotography ©
そんなバレリーくんにとってスケートボードとは?
俺の人生を決めたモノです。スケボーをやってなければ写真にもハマっていないし、出会ってない友達や行かなかった場所もあるし、もしかしたらもっと小さい世界で終っていたかも知れないですよね。全てのキッカケを作ってくれました。
では、最後に告知やフリーメッセージなどをお願いします。
ちょっと前からスタッフとして関わっているんですが、FESN.TVっていう生番組が新たな試みとして月1でUSTREAM配信されています。司会者はスケボー映像を撮っている森田貴宏(FESN)くんとスケボーのフリーマガジンを作っている中村晋久(SECRETCUT)くんです。スケーター以外にもスケボーの面白さを伝えるような番組を目指しています。現在は試験放送中で6月中旬ぐらいに本放送が始まる予定です。もちろんアーカイブで過去の放送分は観る事は出来ますが、Twitterとも連動してプレゼント企画なんかもやっているので、ぜひ生放送をチェックして一緒に参加してもらえると嬉しいです。みなさん観てください!
FESN.TV
http://www.ustream.tv/channel/fesn-tv
バレリー[ スケーター / フォトグラファー ]
東京都江東区出身。スケボー歴15年。当初はフィルマーとして映像を撮っていたが、様々な撮影に立ち会う過程でフォトグラファーへと転向。東京都内を中心に様々なエリアで活動している。
